2
3
森の奥で、旅人は光を放つ果実を見つけた。
ひと口かじれば甘露のような幸福が胸に広がり、
二口目で笑みがこぼれる。
だが三口目からは、輝きが濁り、
身体は鉛のように重く沈んだ。
なおも息づく欠片──
食べれば永遠の満足、しかし動けぬまま森に眠るだろう。
旅人は震える指で果実を置いた。
残光が背を淡く照らし、空腹のまま歩き出す。
その背に、森の風が囁く。
「満たされぬことこそ、生の魔法なのだ──」
ひと口かじれば甘露のような幸福が胸に広がり、
二口目で笑みがこぼれる。
だが三口目からは、輝きが濁り、
身体は鉛のように重く沈んだ。
なおも息づく欠片──
食べれば永遠の満足、しかし動けぬまま森に眠るだろう。
旅人は震える指で果実を置いた。
残光が背を淡く照らし、空腹のまま歩き出す。
その背に、森の風が囁く。
「満たされぬことこそ、生の魔法なのだ──」
ファンタジー
公開:25/11/22 07:04
更新:25/11/24 08:33
更新:25/11/24 08:33
一瞬のズレを物語に仕込み、
読み終えたあとに問いが残る作品を書いています。
ログインするとコメントを投稿できます
問い屋