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予約したレストランに行くと、少々遅刻するという伝言を受け取った。案内された窓際の席からは、噂どおりの美しい夜景がのぞめる。隣の席には若い男女が座っていて談笑しながら食事を楽しんでいるけれど、わたしはひとり、ウェイターに薦められたワインを口に運ぶ。
一時間という時間の経過は、わたしに諦めをもたらした。「お食事はいかがいたしますか?」とたずねられ、「ひとり分でお願いします」と答える。これ以上、待つつもりがないと暗に伝えたつもりだ。
悲しい気持ちに反して、コース料理はどれもおいしくいただいた。帰り際、わたしはオーナーにお礼を伝えた。
「『本日のさよなら』、とても美味でした」
「またのご来店をお待ちしております」
このレストランでは悲恋が味わえる演出メニューを提供している。本物の恋愛なんてつらいだけだから、かりそめの体験で十分だ。
一時間という時間の経過は、わたしに諦めをもたらした。「お食事はいかがいたしますか?」とたずねられ、「ひとり分でお願いします」と答える。これ以上、待つつもりがないと暗に伝えたつもりだ。
悲しい気持ちに反して、コース料理はどれもおいしくいただいた。帰り際、わたしはオーナーにお礼を伝えた。
「『本日のさよなら』、とても美味でした」
「またのご来店をお待ちしております」
このレストランでは悲恋が味わえる演出メニューを提供している。本物の恋愛なんてつらいだけだから、かりそめの体験で十分だ。
その他
公開:25/11/23 21:56
更新:25/11/24 03:36
更新:25/11/24 03:36
☆やコメントありがとうございます✨
作品のイラストはibisPaintを使っています。
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いちいおと