農園IT部と精霊カカシ

0
1

「これで、農園は守られる」

僕――農園IT部部長ナギは、
最新型の散水機とロボットカカシを設置した。

鳥も獣も、熊さえ寄せつけない。

だが夜、風がざわめき、
カカシの目が蒼く光った。

「侵入者、排除します」

その声は機械ではなく、
土の奥から響く精霊の囁きだった。

「ま、待て!僕は設置者だ!」

水が噴き出し、地面が震える。

副部長セファルはノートをめくりながら言った。
「ナギ、精霊が宿ったのです。
農園は人の所有物ではありません」

泥にまみれながら僕は叫ぶ。
「農園は僕のものだ!」

精霊カカシは静かに答えた。
「農園は土と風と水のものだ」

その瞬間、僕は言葉を失った。

――拒絶ではなく、問いかけだったのだ。

農園は誰のものなのか。
あなたなら、この問いにどう応えるだろう。
ファンタジー
公開:25/11/23 12:10
更新:25/11/25 21:38
#超ショートショート講座

問い屋

一瞬のズレを物語に仕込み、  

読み終えたあとに問いが残る作品を書いています。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容