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うちのドリップポットには悪魔が住み着いている。見た目は煎る前のコーヒー豆。灰白色でいつもダルそうな顔をしている。彼いわく、気づいたらそこにいたらしい。
平日はまず会わない。一日の始まりに飲むコーヒーはインスタントで済ませるし、夜は飲まないから。だから休日の朝なんて大変。ずっと彼の小言を聞かされる。
「あぁ何度言ったらわかるんだ。沸騰した湯は一分冷ませと説明したはず。しかも最初はたっぷり湯を注がずに、ふやかして蒸らしてから次を注ぐよう言っているのに」
「そうだっけ?」
抽出されたコーヒーをカップに移す。ここでも彼の小言は快走する。
「俺様がアドバイスしてるんだ。しっかり味わえよ?」
「はい、味わいます」
「約束できるか?」
「もちろん」
わたしは彼が亡き夫の生まれ変わりだと知っている。コーヒーが冷めるとおとなしくなってしまうから、意地悪するみたいにゆっくり口に運んでいる。
平日はまず会わない。一日の始まりに飲むコーヒーはインスタントで済ませるし、夜は飲まないから。だから休日の朝なんて大変。ずっと彼の小言を聞かされる。
「あぁ何度言ったらわかるんだ。沸騰した湯は一分冷ませと説明したはず。しかも最初はたっぷり湯を注がずに、ふやかして蒸らしてから次を注ぐよう言っているのに」
「そうだっけ?」
抽出されたコーヒーをカップに移す。ここでも彼の小言は快走する。
「俺様がアドバイスしてるんだ。しっかり味わえよ?」
「はい、味わいます」
「約束できるか?」
「もちろん」
わたしは彼が亡き夫の生まれ変わりだと知っている。コーヒーが冷めるとおとなしくなってしまうから、意地悪するみたいにゆっくり口に運んでいる。
ファンタジー
公開:25/11/23 02:47
更新:25/11/23 02:52
更新:25/11/23 02:52
☆やコメントありがとうございます✨
作品のイラストはibisPaintを使っています。
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いちいおと