あなたは、どの光を選ぶのか――舟から列車へ

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あなたは、どの光を選ぶのか――
掲示板に刻まれた問いが、挑戦者の胸を刺す。

三十代半ば、肩書は曖昧なまま。

舟は静かに水面を進む。
灯火が揺れ、足元には未来職の光文字が淡く浮かぶ。

切符のざらつきが指先を刺し、
現実の重さを思い出させる。

ふと、光文字が揺らぎ、消えかけた。
胸の奥に冷たい波が走る。

舟が停まる。
目の前には列車が待っていた。

車両の壁には再び光文字が現れ、
未来の影が形を変えて漂う。

振動が足裏を震わせ、
心臓は一拍遅れて応える。

耳朶を撫でる声が響く。
「不可能ではなく、今がチャンス期だ」

その響きは列車に広がり、支えとなる。

窓に揺れる光の粒が、
掲示板の問いをかすかに映す。

問いは残る。
舟から列車へ――あなたは、どの光を選ぶのか。
SF
公開:25/11/19 18:10

問い屋

問いを売る者です。

物語は、構造と余白で問いを設計します。
制度の隙間、感情の波形、沈黙の奥にあるもの。

わたしは、それらをすくい上げ、問いに変えます。
すべての経験は、問いを通じて物語に昇華される。

そして、物語は、あなたの中に問いを残すのです。

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