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昼休み。いつもなら12時ぴったりに社食へ突っ走るおれだが、会社を出て公園に足を運んだ。失敗した時、納得いかなくて悶々とする時――濁った池を見つめながらひとりごとをこぼすのである。
「⋯⋯ヨシダはズルいよ。同期のなかで一番の出世株で性格も良くてイケメンで半年後に美人秘書と結婚? おれの持ってないものぜんぶ持ってるとかこの世はなんて不公平なんだ。つらいぜちくしょう⋯⋯」
周囲に誰もいないのをいいことに好き勝手言うわけだが、今日は様子が違った。池のなかから真っ黒な球体が現れて3つに分かれ、それぞれ口をきいたのだ。
「ねたみです」「そねみです」「ひがみです」
おれは「うわぁ⋯⋯」とドン引きしながら1歩下がったが、なぜか他人とは思えなくて目が離せない。その理由は間もなく判明した。
「あなたの娘よ、お父さん!」と彼女たちが言うのだ。
生みの親であるおれは、責任を感じて球体を持ち帰った。
「⋯⋯ヨシダはズルいよ。同期のなかで一番の出世株で性格も良くてイケメンで半年後に美人秘書と結婚? おれの持ってないものぜんぶ持ってるとかこの世はなんて不公平なんだ。つらいぜちくしょう⋯⋯」
周囲に誰もいないのをいいことに好き勝手言うわけだが、今日は様子が違った。池のなかから真っ黒な球体が現れて3つに分かれ、それぞれ口をきいたのだ。
「ねたみです」「そねみです」「ひがみです」
おれは「うわぁ⋯⋯」とドン引きしながら1歩下がったが、なぜか他人とは思えなくて目が離せない。その理由は間もなく判明した。
「あなたの娘よ、お父さん!」と彼女たちが言うのだ。
生みの親であるおれは、責任を感じて球体を持ち帰った。
ファンタジー
公開:25/11/19 08:44
☆やコメントありがとうございます✨
作品のイラストはibisPaintを使っています。
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いちいおと