6
5
今朝も美里がベランダで叫んでいる。このところ毎日のように叫ぶ。演劇でもやるのかと聞くと「違う、叫びの練習」という。先週から叫びの教室に通いはじめたのだ。アーとかキーとかいろんな声で叫ぶ。隣には変なヤツと思われていることだろう。「授業参観でもしたら」と美里は言う。
叫び教室に行ってみた。教室には先生ひとりきり。部屋は明るいカラオケルームである。
「ようこそ」
「友だちがここで習っていて、ちょっとレッスンを拝見したくて」
「初心者ですね。叫びをやります?」
「いや、その前に叫びってどういう意味ですか?」
「あ、そこから。叫びはイメージ。人の思考や感情が生まれる前のイメージ、意識する以前、感じる以前、論理でも感覚でもなく、根源的な人間存在のイメージを叫び吐き出すことで、私たちは日常の約束や雑事など、私たち自身の面倒な思考、感情から自由になれるのです。そのためのレッスンが叫びです」
「ウェーッ!」
叫び教室に行ってみた。教室には先生ひとりきり。部屋は明るいカラオケルームである。
「ようこそ」
「友だちがここで習っていて、ちょっとレッスンを拝見したくて」
「初心者ですね。叫びをやります?」
「いや、その前に叫びってどういう意味ですか?」
「あ、そこから。叫びはイメージ。人の思考や感情が生まれる前のイメージ、意識する以前、感じる以前、論理でも感覚でもなく、根源的な人間存在のイメージを叫び吐き出すことで、私たちは日常の約束や雑事など、私たち自身の面倒な思考、感情から自由になれるのです。そのためのレッスンが叫びです」
「ウェーッ!」
その他
公開:25/11/18 10:26
2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。
ログインするとコメントを投稿できます
たちばな