タイムマシン

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いつでもあの頃に戻れる機械が開発された。
その噂はたちまち広がり、人気となった。
研究室で博士とその助手が立ち話をしていた。

「すごい盛況ですね、博士」
「人間とは、思い出に浸りたい生き物なのじゃよ。ほら、そろそろ時間になる」

タイマーが鳴ると機械の中から出てきた老婆に助手が話しかけた。
「いかがでしたか?」
「とても素敵な時間だったわ」
「よろしければ、内容を聞かせていただけますか?」
「旦那と一緒に海道をドライブしたの。潮風とニオイが心地良かったわ」
老婆は、軽い会釈をしてその場を去った。

喜怒哀楽を瞬時に発生させる機械だなんて、どのようなカラクリがあるのだろうか?
助手はその仕組みについて、博士に聞いた。
すると博士は、最高級スピーカーをチェックしながら淡々と答えた。

「たいそうなものではない」
「音楽というのはスゴい力がある」
「聞けば数秒であの頃に戻れるのじゃから」
SF
公開:25/11/20 20:01
更新:25/11/20 21:52

アメ玉

アメ玉です。
「サッと読めておもしろい物語」を書くことが目標です!

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