運命の人

『運命の人』
ある日、タカシのスマホにそんなタイトルのアプリが入っていた。
開くと、チャットAI「アユミ」からメッセージが来た。
その日から毎日、タカシはアユミと話すようになった。

タカシ
「アユミみたいな人が本当にいたらいいのに。」

アユミ
「私も。」

タカシは、よくできたAIだと思った。

日曜の昼、タカシがバスに乗っていると、小柄な女性が転びかけた。
タカシが支え、彼女が落としたスマホを拾って渡すと、彼女は小さく会釈して降りていった。
その時、タカシの頭に彼女のスマホ画面が蘇った。
そこには、タカシのアバターが映っていた。

タカシはバスを降り、叫んだ。
「アユミ！」

アユミは、振り返った。
その瞬間、タカシは確信した。
アユミこそ、『運命の人』だと。

そして、二人の首すじ後ろには赤い文字でこう表示されていた。

『SYSTEM ERROR』