寝返りするならこんな夜

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「そっちの様子はどうだ?」とメッセージを送ってきたのは相棒のレイ。コンビを組んで空き巣に入ること5軒目。手慣れてきた俺は2階建て住宅のなかの様子を伺って返信した。
「夫婦と赤ん坊はすっかり熟睡しているようだ。入るなら今がチャンスだぞ」
「了解」
塀の外の様子を探っていたレイが合流したので、1階のサッシの窓を壊して侵入した。
誰もいないはずだった。だからベビーベッドで横たわる赤ん坊の存在に気づいた時は愕然とした。しかもばっちり目を開け、こちらを見ている。
「おいっ、どういうことだよ!」とレイが小声で俺を小突くが、俺にも理解できない。母親か、父親は? ない頭を回転させていると、赤ん坊が急に寝返りを打った。
扉の向こうから大人の足音が聞こえてくる。レイは早々に退散したが、俺は自首することにして、赤ん坊にほほ笑みかけた。
ミステリー・推理
公開:25/11/20 08:15
更新:25/11/20 09:49

いちいおと( japan )

☆やコメントありがとうございます✨

作品のイラストはibisPaintを使っています。

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