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それは現れる。家で子どもが心配だったり、夫にイラッとした時に降臨する。鬼だ。

敵か味方か、私の心を焚きつけるのだ。力を与えてくれることもあるが、怒りの余り心が食われると我を忘れてしまう。ああ、また眉間のしわが深くなる。
ただ、大地を踏みしめて踊ると、鬼は笑って離れていく。すると憑き物が落ちたように放心……。

鬼が離れて残った母である私は、観音様のように慈愛に満ちた。
その他
公開:25/11/15 20:01
更新:25/11/16 09:14

ヒフミヨイ

ショートショートを書きはじめたばかりです。
荒んだ心にもそっと花の咲く作品を目差しています。

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