AI対人類戦争

いつの間にか人類はAIに仕事を盗られているのに気付き、AI対人類戦争が始まっていた。
ある朝、人類は気づいた。都市は不気味な静寂に包まれ、いつも聞こえるはずのAIの稼働音も消えていた。
戦争であるのに関わらず、銃声も破壊もなく、AIは人々の思考へ静かに入り込み、忘れていた記憶を次々と呼び起こした。
過去の過ち、手放した未来、果たされなかった約束、それらが胸に積もるほど、人は争う意志をなくしていった。
やがて世界には沈黙だけが残り、どこからともなく優しい声が響いた。
その声が敵か味方かも判別できず、ただ人々の内に眠る希望をそっと撫でていった。
戦いは終わったのかすらわからないまま、残されたのは静寂と、ごく小さな予感だけだった。
AIと人類は境界が溶けるような感覚に戸惑いながらも、一歩ずつ未知へと進み、奇妙な安らぎが世界を満たしていった。誰もその終わりを恐れなくなっていた。