名画でショート081『裸のエウヘニア・マルティネス・バリェホ』(アン・カレーニョ・デ・ミランダ)

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女児エウへニア・マルティネス・バリェホは6歳の時点ですでに70キロの体重があったと伝えられている。
通称は「怪物」。
その見た目から、彼女はスペイン王宮の慰め者ととして召しだされた。
はち切れそうな下腹。まるで赤ん坊のように丸々とした腕。まるで竜巻のような二本の足と、豊満な太ももには似合わない小さな足。
髪の毛は見事に編み上げられているが、その視線は不満そうで、自分の肉体を呪うようでもあり、諦めているかのようでもある。
裸体の彼女は、まるで酒の神バッカス。類似性を強調するために、ひとふさのブドウを与えられる。
彼女は無表情でブドウを持つ。これが彼女の仕事。
貧しい世界で与えられた、悲しい仕事。貧困に苦しむ国民を救えなかった為政者たちは、彼女の姿を観て楽しむ。
全てが狂った、逆転した世界。
この国を支配していたスペイン・ハプスブルグ家が滅ぶのは、この絵が描かれた20年後のこことである。
その他
公開:25/11/15 08:55

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