焼き鳥と手ぬぐい

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猪俣という男46歳。焼き鳥を焼くことに命をかける。
魂込めて焼く焼き鳥は彼の人生そのもの。
猪俣は週末、趣味のビーチボールでリフレッシュする。
焼き鳥とビーチボール。それは彼が本気で自分の人生を生きているという事。

ただ、彼は酒が大好き。
バイクの事故で、右腕を失った。
彼の人生は左腕の人生になった。

彼の焼く焼き鳥は両腕があった時のものと変わりなかった。
常連さんが店主の焼く焼き鳥を目当てに足を運ぶ。

彼のレシーブは両腕があった時よりも、精度をました。

猪俣は思う。失って初めて気づいた。
「今、あるもの。今、生きていること。」
あるものに満足することが、幸せなのだと。

彼は手ぬぐいを頭に巻いて、今日も焼き鳥を焼く。

「今日は何を焼きましょ!」
その他
公開:25/11/17 17:17

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