人生を変えるプレゼント

その子はクリスマスプレゼントにアイデアが欲しいとお願いしてきた。
アイデアか…そんなもので良ければと、儂は書き貯めていたネタ帳をその子に渡した。
儂もこの子同様、昔は小説家になりたかった。だが儂には才能がなかった。そのくせ、サンタになっても夢を諦めきれずメモばかり取った。サンタという仕事は人間観察にもってこいだったからな。
書き貯めたこれが使えるかどうかは分からない。だが、ないよりはましだろう。そう思って、クリスマスプレゼントとは別に渡した。
どうか君が、良き作家にならんことを。

数十年後、儂は偶然にもあの時の子どもと再会した。
作家にはなれなかったようだが、立派な大人にはなれたようだ。
その子は儂があげたネタ帳を儂に返し、こう言ってきた。
「夢を叶えるのに年齢は関係ありませんよ。今からでも作家、目指しませんか？」
大手出版社で担当編集者をしてるというその子は、儂に名刺を差し出してきた。