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瓶をひねると、
はちみつの底で金がほどけた。
ひとさじ、舌に載せる。
甘さより先に、音が消える。
台所の時計は回り続けているのに、
秒針だけが静かだ。
その夜、金色の羽の蜂が来た。
蜂は世界の隅に、小さな印を置いていく。
窓の桟、枕元、洗いかけの皿。
印は光ではなく、
触ると少しだけ遅くなる時間だった。
朝、机の端に指を置くと、
昨日がまだ温かかった。
わたしはカレンダーの今日に、
金色の小さな丸を描いた。
祝うためではなく、
今日がここに在ったと、残すために。
はちみつの底で金がほどけた。
ひとさじ、舌に載せる。
甘さより先に、音が消える。
台所の時計は回り続けているのに、
秒針だけが静かだ。
その夜、金色の羽の蜂が来た。
蜂は世界の隅に、小さな印を置いていく。
窓の桟、枕元、洗いかけの皿。
印は光ではなく、
触ると少しだけ遅くなる時間だった。
朝、机の端に指を置くと、
昨日がまだ温かかった。
わたしはカレンダーの今日に、
金色の小さな丸を描いた。
祝うためではなく、
今日がここに在ったと、残すために。
ファンタジー
公開:25/11/16 18:55
更新:25/11/24 09:05
更新:25/11/24 09:05
#超ショートショート講座
一瞬のズレを物語に仕込み、
読み終えたあとに問いが残る作品を書いています。
答えが出ても、出なくても。
あなたの一行が、この物語の余白を広げます。
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問い屋