風の誉め言葉

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天空の学院で、一人の訓練者が旋回試験に挑んだ。

青衣に羽紋を揺らし、見事に風を操ると、教官は声を張り上げた。「よくやった!」

だが次の試験では失敗し、教官は厳しく言う。
「誉めると鈍る。叱れば上達する」

学院には古くから失敗を罰で矯正する文化が根付いていた。
恐怖による規律は挑戦心を削ぎ、失敗を隠す風潮を生んでいた。

そのとき、記録官が静かに告げる。

「それは錯覚です。
極端な成功や失敗の後には平均へ戻るだけ。
必要なのは信頼
――失敗を共に分析し、挑戦を支える仕組みです」

窓から吹き込む風が衣を揺らす。

恐怖ではなく信頼に支えられた勇気が芽生えた。

「風が通う場所へ、あなたはどんな言葉を選びますか?」
ファンタジー
公開:25/11/13 19:29
更新:25/11/25 22:05

問い屋

読み終えたあと、小さな違和感が残る短編を書いています。
その余韻が続く作品は、noteにまとめています。

https://note.com/toiya_story

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