燃えた城と燃えなかった村

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王国の城で火竜が暴れた。
炎は高く燃え、兵士たちは混乱する。

騎士は駆けつけた。

剣を振るい、魔法を叫び、兵を指揮する。
竜は退けられ、城は守られた。

「英雄だ!」と民は讃える。

一方、遠い村では炎は立ち上がらなかった。

賢者は小さな兆しを見つけた。

竜の鱗の欠片を拾い、結界を張り、風の流れを変えた。

竜は近づかず、村は静かに息をしている。

民は何も知らない。

「何も起きなかった」とだけ記録される。

英雄は讃えられる。
賢者は忘れられる。

だが、犠牲が生まれないのは後者の村だ。

――あなたは城と村、どちらの物語を選ぶだろうか?
ファンタジー
公開:25/11/13 09:06
更新:25/11/25 22:16

問い屋

読み終えたあと、小さな違和感が残る短編を書いています。
その余韻が続く作品は、noteにまとめています。

https://note.com/toiya_story

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