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空き缶を潰すのが五人の午前中の仕事である。荒凉とした高地の小屋に客が持ち込んで捨てた缶、周辺に散らばった空き缶を集めては潰す。平たくて大きな岩に缶を立てて五人は大きな木槌で叩いて缶を潰す。缶はいろいろ。ビール、炭酸水、コーヒー、チューハイ、ジュースなどの空き缶を潰す。平たく潰した缶を金属製のカゴに入れる。缶をカゴに入れたら、小屋の近くの池に沈める。池は大きく深い。カゴにつけた紐を手に持って池に沈める。そうして引き上げるとカゴの中の潰れた缶はなくなっている。紐を引き上げるタイミングが重要だ。慣れないうちはカゴにいくつも缶を残したものだった。五人はときに潰した空き缶をカゴに入れずに放り投げる。缶は円盤のように飛んでゆき池に落ちる。池の直径は百メートル以上ある。五人は距離を競って投げる。池の向こう側に到達した缶は池に沈めなくてもいい。池を越した缶は彼らの勲章として残される。まだ三つしかない。
その他
公開:25/11/14 10:10
2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。
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たちばな