月の裏側

0
1

昔々、竹取の翁が光る竹から小さな女の子を見つけ、妻と共に「かぐや姫」と名付けて育てた。
姫は美しい女性に成長し、その美しさは世に広まり、多くの貴公子や帝が求婚したがその全てを拒んだ。
翁が理由を尋ねると、姫は、
「私は月から来た者。次の満月の夜に月に帰らねばなりません。」
と答えた。

満月の夜、帝の命で兵が屋敷を囲んでいた。
そこに、眩い光と共に銀色の宇宙船が現れた。
兵は矢を放ったが、矢は宇宙船に届かなかった。

かぐや姫は叫んだ。
「地球を制圧せよ!」
すると青白い光が広がり、兵の動きが停止した。
次の瞬間、冷たい声が響いた。
「月の表側公安警察だ。裏側は降伏した。お前をスパイ容疑で逮捕する。」

月では表側と裏側が戦争していた。
地球は条約で中立地帯だが、地球側の先制攻撃なら介入可能で、かぐや姫はそれを誘発する裏側のスパイだった。
しかし、彼女は逮捕され、地球人の記憶も消去された。
SF
公開:25/11/13 20:23

加賀美 秋彦

加賀美 秋彦と申します。
学生時代からのショートショート好きが高じて、2025年4月から自分でも書き始めました。
幅広く色々なジャンルの作品を書いていきたいと思っております。
よろしくお願いします。
note

https://note.com/a_kagami

X(Twitter)

https://x.com/kagami_short2?s=21

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容