雨足の靴ひも
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雨の靴ひもをほどいた話をしよう。
連休明けの月曜日、天気は朝から大荒れで、横殴りの雨に叩かれながら駅へ急いでいた。ほとんど役立たずの傘を槍の様にすぼめ、階段を駆け上がっている最中、視界の端に細長いものがなびくのが見えた。
傘ひもだと思い、指で払いのけた瞬間、横殴りの雨が垂直になった。
正面から叩きつけていた雨足が、つんのめって尻もちをついた。下から上へ降り昇る雨の軌道と、指先に絡まる透明な切れ端をしばし眺め、こいつは雨足の靴ひもだと気付く。
えらい事をしてしまった。空中でバタつく靴ひもをどうにか捕まえ、ちぎれた所を結び直す。幸い何事もなかった様に、雨足は起き上がって走り去り、僕は電車を逃して会社に遅刻した。
どんよりと曇った気分で午前の業務を終え、昼休憩。ニュースを見ていてずっこけそうになった。
お昼の天気予報。列島を南下する寒冷前線には、不格好な縦結びのちょうちょがくっ付いていた。
連休明けの月曜日、天気は朝から大荒れで、横殴りの雨に叩かれながら駅へ急いでいた。ほとんど役立たずの傘を槍の様にすぼめ、階段を駆け上がっている最中、視界の端に細長いものがなびくのが見えた。
傘ひもだと思い、指で払いのけた瞬間、横殴りの雨が垂直になった。
正面から叩きつけていた雨足が、つんのめって尻もちをついた。下から上へ降り昇る雨の軌道と、指先に絡まる透明な切れ端をしばし眺め、こいつは雨足の靴ひもだと気付く。
えらい事をしてしまった。空中でバタつく靴ひもをどうにか捕まえ、ちぎれた所を結び直す。幸い何事もなかった様に、雨足は起き上がって走り去り、僕は電車を逃して会社に遅刻した。
どんよりと曇った気分で午前の業務を終え、昼休憩。ニュースを見ていてずっこけそうになった。
お昼の天気予報。列島を南下する寒冷前線には、不格好な縦結びのちょうちょがくっ付いていた。
ファンタジー
公開:25/11/10 13:30
ラジオ『月の音色』
月の文学館
テーマ:靴ひも
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.14執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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創樹