靴ひも♡結び

図書館で読んだ本に、靴ひもを使った恋まじないが載っていた。
意中の相手に気付かれずに、お互いの靴ひもを交換すると両想いになれる。クラスの気になる男子とお近づきになれるかもと、こっそり試す事にした。

放課後、生徒玄関のロッカーから彼の靴を失敬する。校内用の上履きは指定のひも靴なので、後でばれる可能性は低い。
陸上部の彼は、運動靴でグラウンドにいる。今のうちにと交換作業を急いでいると、
「何やってんの？」
他の男子に見付かった。
「何でもない。ちょっとロッカー間違えて」
「だろうね。君のお目当ては、多分そっち」
半笑いで隣のロッカーを指され、真っ赤になる。あたしのドジ！あせって交換する靴を間違うなんて。
「あと、俺の靴返して」
「きゃー、ごめんなさい！」
押し付ける勢いで返し、逃げようとして引っ張られる。
「うわっ！」
「うそ！？」
二人の上履きの靴ひもは、いつの間にか一本にくっついていた。