アニマルビール

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「鴇色一つ」
注文を受けたビアガーデンの店員は、棚からカラフルな小瓶を取り出し、一滴単位で染料を調合しジョッキに入れる。サーバーから注がれたビールが一瞬にして淡い桃色になった。
「鴇ビールです」
グビッと一口飲んだ客の顔がみるみる赤くなった。さらにグビグビッと飲むと、今度はもみあげ辺りからふわっと白い羽毛が生えた。
次の客がやって来た。
「亀色とアヒル色と、あと蛇色もくれ」
「お客さん、一度に大量に飲むのは危険です。飲み過ぎると——」
「構わん。彼女にフラれてムシャクシャしてるんだ。早くしろ」
店員の制止も聞かず、客は金を置いて注文したビールを持って行った。

しばらくして別の客がやってきた。
「ピリ辛きゅうりを一つ」
「すみません。きゅうりが売り切れまして」
「売り切れ?」
「あそこのお客さんが買い占めたんです。亀の甲羅、アヒルのくちばしに水かき、そして蛇の鱗……あの河童のお客さんがね」
その他
公開:25/11/09 23:31
ラベル小説

雪宮冬馬( 広島 )

Yahoo!でのログインがどうもできないので新たに作りました。
20代男。趣味でショートショートを書いてます。
夢は「坊っちゃん文学賞」受賞!

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