ふわふわの白い泡
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プシュッ!と小気味よい音がして、手にプルタブが開く感触が伝わる。そのまま口を付けたい衝動を抑えて、静かにその黄金に透き通る中身をコップに注ぐ。自分で言うのもなんだが、私はビールを注ぐのが上手い。ちょうどいい比率で現れた泡に、口角が上がる。口をつける。柔らかな苦味とシュワシュワとした刺激をゴクゴクと飲み、はぁ〜と長い息をついた。至福の時とはまさにこの事。少なくなった泡に、幼き日のことを思い出す。
作業着のまま、食卓につく父。薬剤の香りが少し残るそのつなぎの上にちょこんと座り、父が注ぐビールの泡を見ていた。白くてフワフワしているそれは、とても美味しそうに見えた。
「大人になってからな」
そう微笑む父に、私は唇を尖らせていた。
少なくなったグラスに再びビールを注いでいると、息子がやって来た。
「美味しそう!飲みたい!」
その無垢な瞳に、私は微笑みかける。
「この美味しさは、大人になってからだな」
作業着のまま、食卓につく父。薬剤の香りが少し残るそのつなぎの上にちょこんと座り、父が注ぐビールの泡を見ていた。白くてフワフワしているそれは、とても美味しそうに見えた。
「大人になってからな」
そう微笑む父に、私は唇を尖らせていた。
少なくなったグラスに再びビールを注いでいると、息子がやって来た。
「美味しそう!飲みたい!」
その無垢な瞳に、私は微笑みかける。
「この美味しさは、大人になってからだな」
その他
公開:25/11/09 20:40
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