あの子を探さなきゃ

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私を好きにならない彼女が好きだった。
いつも一緒にいるし、腕を組んだり2人で出かけたり。

それ以上に踏み込んでこない、親友以上の感情を向けてこない彼女が好きだったのだ。

「好きよ」
「私も好きよ」
「ちょっと違う好き、なの」

頭を殴られたような気がした。
彼女は私を好きになるはずなんてない。私と同じように性愛の感情を相手に向けるなんて。貴女を想って耽る私と同じだなんて。

「貴女、誰?」
「え?」
「私の知ってるあの子は、そんな事言わない、返して、返して、!」

階段から踊るように落ちたそれは何も言わない、私を見ていない。そう、それでいいの。あの子は砂糖菓子のように甘く繊細で。

汚い感情を向ける落ちたそれは、もう私の知らないものだった。
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公開:25/05/10 23:00

A87(あやせ)

短いお話が好きです
幸せだけでは無いお話が好きです

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