春はきっと終わらない

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6年付き合った彼と別れた。
浮気とかそんな事はなく、お互いに春が長すぎたのだと円満に離れたはずだった。

料理をして味見をした時、彼の好きな味だと思った。スーパーで新発売のお菓子を見つけたとき、買おうと手を伸ばしたのは自分じゃない人のため。

存外未練がある事に驚いたのは言うまでもない。なんて言いながら、物に罪はないなんて最もらしい理由をつけて、貰った物をそばに置いているのは紛れもなく私なのだけど。

インターホンが鳴る。
開けたドアの先には私の好きなお菓子を持った彼がいた。
どちらからともなく小さく笑い、静かにドアを閉める。私も貴方の好きなご飯を作ったんだよ。
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公開:25/05/10 19:00

A87(あやせ)

短いお話が好きです
幸せだけでは無いお話が好きです

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