0
2

その街には、大きな石があった。
その石は、大人の背丈ほどの大きさで、触れると人の体温ほどの温もりがあり、微かに震えていた。
その石は、何十年も前に突如としてその街に現れ、隕石ではないかとも言われていたが、この街の誰もこの石がどこから来たのか知らなかった。

ある夜、一人の男がよろめきながら、その石にもたれ掛かった。
男は、酒に酔っていた。

「みんな、死んじまえ!」

男はそう叫び、石を蹴りつけた。
すると、石は眩い光を放ち始めた。
光が消えると、男の姿はどこにもなかった。

その日以来、街では奇妙な噂が囁かれ始めた。
なにやら、あの大きな石から毎夜、微かだが、

「みんな、死んじまえ!」

という声が聞こえるそうな。
ホラー
公開:25/05/08 13:54
更新:25/05/08 13:57

加賀美 秋彦

加賀美 秋彦と申します。
学生時代からのショートショート好きが高じて、2025年4月から自分でも書き始めました。
SF作品を書く事が多いですが、幅広く色々なジャンルの作品を書いていきたいと思っております。
よろしくお願い致します。
note

https://note.com/a_kagami

X(Twitter)

https://x.com/kagami_short2?s=21

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容