ここはきっと異世界なのだ

0
1

僕はきっと車に撥ねられた。
そして異世界に勇者として転生したのだ。伝説の剣を手に取り、魔王の城へといざ行かん!さぁ、大冒険の始まりだ!

「なりません勇者様」
「…姫」

魔王を倒した暁には姫にプロポーズをしよう。
だからそんな悲しい顔をしないで、僕はきっと帰ってくるから。

「行ってはなりません」
「でも…」
「貴方はまだ宿題が終わっていないでしょう?」

姫野か顔がぐにゃりと歪む。ジリリと鳴り響くのは目覚まし時計の音。ベッドから落ちた僕の目に入るのは無情な8月31日というカレンダーの日付だった。

そうだ、僕は異世界に行っている場合じゃない、明日までに宿題を終わらせるという試練が待っているのだから。
ファンタジー
公開:25/05/11 18:00

A87(あやせ)

短いお話が好きです
幸せだけでは無いお話が好きです

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容