四番目の花嫁

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今日は私の結婚式。
披露宴もつつがなく進行し、残されたイベントはブーケトスのみとなった。
そこで事件が起きた。
派手な衣装を着たかつての後輩たちがフェンスの向こう側でたむろしていたのだ。
招待客はもちろん、夫も親族も漫画のように口をぽかんとあけて立ちすくんでいる。
すると私のことを最も慕っていた京子が熱く叫んだ。
「舞さん! わたしたち、どうしてもお祝いしたくて駆けつけてしまいました!」
昔だったら般若の形相で怒号を飛ばしていたところだけど、今は天然で通っているからぐっと我慢する。
とはいえ、彼らがこのまま黙って帰るとは思えないし、求められていることはわかっていた。
定位置に立ってブーケを構えると、覚悟を決めて声を張り上げた。
「緑が丘高校ヤンキー系ダンス部『四番目の美少女』舞、空高く舞い上がりまーす!」
歓声と嬌声に包まれながら投げたブーケは、フェンスを軽く飛び越えて飛んでいった。
青春
公開:25/05/10 16:20

いちいおと( japan )

☆やコメントありがとうございます✨

作品のイラストはibisPaintを使っています。

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