一身同体

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寂れた焼肉店で進也と紫音はデートをしていた。
「こちら、当店からのサービスとなっております」
食事も終盤に差し掛かったころ、店員が真っ赤な皿を持ってきた。皿にはほかのどの肉よりも真っ赤な肉が乗っていた。
進也が何の肉か店員に聞くも、「サービスですから、お気になさらず」と的外れな答えしか返って来ず、なんだろうと思いながら進也は肉を焼いた。
肉に焼き目がつき、進也がそれを食べる。案外美味しい。
何枚か食べていると、
——ガリッ。
思わず進也が口から手に肉を出す。
形の崩れた肉の中にキラリと光る何かを見つけ、進也が慎重にそれを取り出すと、小さな宝石のついた花のネックレスだった。進也には見覚えがあった。
「ねぇ、美味しい?」
紫音が冷たく微笑み、進也が浮気相手とやり取りしていたメッセージ画面を紫音が見せながら言った。
「進也が『早く一緒になろうね』って言ってた子の肉。望み通り、一緒になれたね」
ホラー
公開:25/05/05 10:26

雪宮冬馬( 日本 )

Yahoo!でのログインがどうもできないので新たに作りました。
20代男。趣味でショートショートを書いてます。
夢は「坊っちゃん文学賞」受賞!

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