恋を知った日に
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好きだなぁと、ぼんやり思った。
特に思い当たる理由はないけれど、目で追う回数が増えた。視線が重なった事はない、多分私の存在すら知らない。私だってあの先輩の名前を知らないのだから。
雨の日は、少し髪がうねうねしていた。
数学が赤点だったと落ち込んでいた。
飽きない表情を見せてくれる先輩は、私の何気ない日常を少しだけキラキラにしてくれたのだ。
「告白、した」
友達との会話が、響いた。
顔を見る勇気がなかったけれど、成功したのは声色で分かった。震えるように、そこに嬉しさが混ざったような初めて聞く声。
「ずっと好きだったもんな」
私は、顔を上げた。
今この瞬間しか見られない先輩の顔がきっとそこにあるから。ゆっくり前を見たその時、重なった気がした。初めて私は存在を視認されたのだ。
騒ぐなと友達にちゅゆういして、会釈をされた。
少し照れたような横顔、その顔をさせたのは間違いなく私だった。
特に思い当たる理由はないけれど、目で追う回数が増えた。視線が重なった事はない、多分私の存在すら知らない。私だってあの先輩の名前を知らないのだから。
雨の日は、少し髪がうねうねしていた。
数学が赤点だったと落ち込んでいた。
飽きない表情を見せてくれる先輩は、私の何気ない日常を少しだけキラキラにしてくれたのだ。
「告白、した」
友達との会話が、響いた。
顔を見る勇気がなかったけれど、成功したのは声色で分かった。震えるように、そこに嬉しさが混ざったような初めて聞く声。
「ずっと好きだったもんな」
私は、顔を上げた。
今この瞬間しか見られない先輩の顔がきっとそこにあるから。ゆっくり前を見たその時、重なった気がした。初めて私は存在を視認されたのだ。
騒ぐなと友達にちゅゆういして、会釈をされた。
少し照れたような横顔、その顔をさせたのは間違いなく私だった。
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公開:25/05/06 22:38
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