文化禁止の星

この星では、街ゆく人は真っ白な服を着て歩いている。ハッピーなカラーを心にしまって。色があってはいけない。怠惰な夢を見てはいけない。そういう看板をぶるさげながら大量の警備員が歩いているからだ。

私の仕事は、人々が捨てた言葉を拾うこと。
世界に影響をもたらすような言葉は一切禁止されている。最大禁忌は、遠い昔に捨て去られたあの言葉。使う人なんていないけど。
今日も人々がしっかりと言葉を捨てたかどうか数えている。

その時、警告音が鳴る。
画面にあの文字。
とっさに警告音を切る。
なにかの間違いかもしれない。
そっと開き直すと、そこには...
僕は空をあいしている。
僕は海をあいしている。
僕は猫をあいしている。
僕はチーズを...
僕は..
延々と続くあいの言葉。
ロック、ピカソ、思い出のあの人。
まるでそれはカラフルな服を着て踊っているよう。私は、誰にも知られないように警告音を切り続けた。