ユニークな童話

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昔々、便利で効率的な社会がありました。この国ではすべての人々が「ユニーク」であることを求められていました。

そのため、誰もが自分だけのユニークな物語を作り上げ、SNSではユニークな人生を披露することがトレンドとなり、それが評価の基準でした。毎日、誰もが他人との差をつけようと必死でした。

ある日、街角で少年が叫びました。

「もうこれ以上、ユニークを追い求めるのをやめようよ!それができないならせめて平凡でいよう!」

誰もがその少年を見て笑いました。「何を言ってるんだ、君は!」

少年は答えました。
「ユニークな童話ではいつも最後に自分らしさを発揮して勝つ。でも、現実ではそれが誰かを傷つけることになってる。」

誰もその言葉に耳を傾けませんでした。

結局、みんなは「ユニーク」であることに疲れ、でもそれを続けざるを得ない社会で生きることに決めました。だって、それが“ユニーク”だったから。
ファンタジー
公開:25/05/01 12:08

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