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冬のこたつで、祖父とミカンを食べていた小学生の頃。
「ミカンはな、誰かのことを想いながらむくと甘くなるんだ」
そう言って、祖父はゆっくり皮をむいた。私はその話が気に入って、次の日から毎回誰かを想いながらミカンをむいた。友達、先生、そしてちょっと気になるあの子。
それから十数年。祖父は他界し、私は社会人になった。仕事に疲れ、ふと実家に帰ると、仏壇の前に祖父が好きだったミカンが供えられていた。
私はそのうちの一つを手に取る。あの頃と同じように、誰かを想いながら皮をむく。
――ありがとう、おじいちゃん。
ミカンは、あの頃と変わらず、優しく甘かった。
「ミカンはな、誰かのことを想いながらむくと甘くなるんだ」
そう言って、祖父はゆっくり皮をむいた。私はその話が気に入って、次の日から毎回誰かを想いながらミカンをむいた。友達、先生、そしてちょっと気になるあの子。
それから十数年。祖父は他界し、私は社会人になった。仕事に疲れ、ふと実家に帰ると、仏壇の前に祖父が好きだったミカンが供えられていた。
私はそのうちの一つを手に取る。あの頃と同じように、誰かを想いながら皮をむく。
――ありがとう、おじいちゃん。
ミカンは、あの頃と変わらず、優しく甘かった。
その他
公開:25/05/03 19:59
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