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駅前の古びた喫茶店。
灯油ランプの柔らかな光が揺れるなか、私は窓際の席で本を読んでいた。
「相席、いいですか?」
不意にかけられた声に顔を上げると、見知らぬ彼が立っていた。満席の店内。頷くと、彼は礼を言って向かいに座った。
しばらくして、突然店が暗くなる。停電だった。
店主が慌ててランプを追加で灯すと、彼がぽつりと呟いた。
「こういう光、落ち着きますね」
「うん。なんか、心が静かになる」
互いに本を閉じて、他愛ない話をした。名前も知らないのに、不思議と居心地がよかった。
やがて、電気が戻る。
同時に、彼が席を立とうとしたその瞬間、ランプが“コトリ”と音を立てて揺れた。
「また、ここで会えたら」
「うん、また」
その灯火のように、静かに、でも確かに。
恋が、そっと始まった。
灯油ランプの柔らかな光が揺れるなか、私は窓際の席で本を読んでいた。
「相席、いいですか?」
不意にかけられた声に顔を上げると、見知らぬ彼が立っていた。満席の店内。頷くと、彼は礼を言って向かいに座った。
しばらくして、突然店が暗くなる。停電だった。
店主が慌ててランプを追加で灯すと、彼がぽつりと呟いた。
「こういう光、落ち着きますね」
「うん。なんか、心が静かになる」
互いに本を閉じて、他愛ない話をした。名前も知らないのに、不思議と居心地がよかった。
やがて、電気が戻る。
同時に、彼が席を立とうとしたその瞬間、ランプが“コトリ”と音を立てて揺れた。
「また、ここで会えたら」
「うん、また」
その灯火のように、静かに、でも確かに。
恋が、そっと始まった。
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公開:25/05/02 23:12
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