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ひやし中華にごまだれをかけるたび、思い出す人がいる。
あの人も、ごまだれが好きだった。
「ごまだれは、たっぷりかけないと」
そう言って、ドボドボと瓶を傾ける手元を、隣で見ていた。
夏の昼下がり。蝉の声がシャワーみたいに降り注いでいた。
二人でひとつの食卓を囲んで、他愛もない話をした。
あの時は、ごまだれの味なんて、ただの味だった。
それが今、こんなにも胸を締め付けるのは、どうしてだろう。
たっぷりかけても、あの時の味にはならない。
あの手も、あの声も、もう隣にはないのだから。
テーブルには、私一人分のひやし中華があるだけだ。
あの人も、ごまだれが好きだった。
「ごまだれは、たっぷりかけないと」
そう言って、ドボドボと瓶を傾ける手元を、隣で見ていた。
夏の昼下がり。蝉の声がシャワーみたいに降り注いでいた。
二人でひとつの食卓を囲んで、他愛もない話をした。
あの時は、ごまだれの味なんて、ただの味だった。
それが今、こんなにも胸を締め付けるのは、どうしてだろう。
たっぷりかけても、あの時の味にはならない。
あの手も、あの声も、もう隣にはないのだから。
テーブルには、私一人分のひやし中華があるだけだ。
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公開:25/04/29 16:49
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