パパとドライブ

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中1の私はピアノ教室の帰り道をひとりで歩いていた。すると見覚えのある車が停まった。ナンバーは4188、間違いない、パパの車だ。「七海、家まで乗ってく? それともちょっとドライブ行く?」パパが車の中から話しかける。私は助手席に乗り込む。「ドライブしたいけど、ママが心配するかも」そう言うとパパは「ママには連絡しておくよ。海まで行こう」と笑う。「七海とドライブするの、久しぶりだな」パパの声が徐々に遠くに聞こえて急に眠くなった。「やっぱり今日は家までのドライブだ。海はまた今度」パパの声がかすかに聞こえ「海に行きたかったのに」私は心の中で呟く。気がつくと家の玄関にひとりで立っていた。仕事から帰ってきたママに「パパに送ってもらったよ」と言うとママは寂しそうに笑った。「そうね、パパが生きてた頃はよくお迎えに行ってもらったわね」私、本当にパパに会ったのに。でもなぜかな、ママにはそれ以上何も言えなかったの。
ファンタジー
公開:25/05/01 01:56
更新:25/05/02 00:42

ジャスミンティー

2023年10月から参加しています。作品を読んでいただき、ありがとうございます。

最近noteへの投稿も始めました。よろしかったら、そちらもご覧ください。エッセイ、短歌なども載せています。https://note.com/real_condor254 
 

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