牛乳
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夜道を歩いていたら、道端に赤ん坊が捨てられていた。潤んだ目で俺を見つめている。いったん拾って、明日の朝一番で、しかるべき施設に連れていこうと思った。家に帰った俺は、とりあえず赤ん坊を毛布でくるみ、牛乳を温め、それをスプーンで飲ませた。赤ん坊は牛乳を飲むと、「だあだあ」と声をあげて、俺に笑顔を見せた。俺も思わず微笑み返した。次の瞬間、いきなり赤ん坊が真顔になり、はっきりした口調で、「実験にご協力ありがとうございました」と言い、二本足で立ち上がり、そのまますたすた歩いて、俺の家を出ていった。俺はとりあえず、余った牛乳を飲み干した。
ホラー
公開:25/04/28 20:26
短い読み物を書いています。その他の短編→ https://tomokotomariko.hatenablog.com/
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