落ち葉の郵便局

秋になると、森に「落ち葉の郵便局」が開局する。
色づいた葉っぱたちは、風に乗って季節の手紙を運ぶ郵便配達人。
赤い葉は「ありがとう」、黄色い葉は「またね」、茶色い葉は「さようなら」
誰にも読まれない手紙だけど、葉っぱたちはそれを誇らしげに届けに行く。
古いベンチ、さびた鉄柵、忘れられた道端。
誰かの思い出が眠る場所に、そっと手紙を置いていく。
風が吹き、ひらひらと落ち葉が舞うたび、季節は静かに次のページをめくる。
今日も郵便局の葉っぱたちは、小さな使命を胸に旅を続ける。
たまに、落ち葉に気づく誰かが立ち止まり、そっと拾い上げることがある。
その手のひらに残るのは、言葉にならなかった想いのぬくもり。
秋の終わり、郵便局は静かに閉じられ、冬の眠りへと入っていく。