かき氷雨

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今日の雨は、ちょっと特別だった。

空から降ってきたのは、ひんやりと冷たいかき氷のような雨粒。ぽたりと頬に落ちたそれは、まるでイチゴ味。甘酸っぱくて思わず笑みがこぼれる。

道を歩けば、ブルーハワイ味のように鮮やかな青の傘たちが次々と花開く。まるで夏祭りの屋台が空の上でひらいているみたいだ。

足元を見れば、濡れた草たちがほんのりメロンの香りを放っている。緑のしずくが揺れて、まるで葉っぱたちが一斉に「行ってらっしゃい」と笑っているようだった。

人々は雨の日が嫌いだったはずなのに今日は誰もが楽しそうに歩いている。傘を回したり、雨を舐めてみたり。世界がちょっぴり甘くなった。

「こんな雨、毎日だったらいいのに」

そう思った瞬間、目が覚めた。

教室の机に突っ伏していた私はふと窓の外を見る。そこにはいつも通りのどんよりとした灰色の雨。

でも、なんだか今日は…少しだけ、甘い気がした。
その他
公開:25/04/26 12:13

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