フェアリーポット

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親友がバースデーパーティーをひらいてくれた。おしゃれなレストランでおいしいイタリアンを楽しみ、会話もいつもの倍はずんだ。

そろそろ解散しようとなった時、店員が陽気な歌をうたいながら鉢植えを持ってやってきた。桃色の蕾をひとつつけた植物は、わたしに直接手渡された。親友は満面の笑みで補足した。

「フェアリーポットだよ。今日のために一生懸命育てたの」

「フェアリーポット?」

「蕾から妖精が出てきて、ひと言つぶやいてくれるんだって」

「やだ、素敵……」

話しているあいだに蕾はどんどん膨れ、ふいに真っ二つに割れた。なかからは金太郎そっくりな妖精が現れた。

あっけに取られるわたしたちの前で金太郎似の妖精は、「そこは桃太郎じゃないんかーい!」と一人ツッコミして、いずこかへと去っていった。
ファンタジー
公開:25/04/25 22:49

いちいおと( japan )

☆やコメントありがとうございます✨

作品のイラストはibisPaintを使っています。

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