ランドセル航海記

ある朝、わたしのランドセルから、くしゃくしゃの紙が落ちた。
広げてみると、それは見たこともない地図。
教室、校庭、大きなクスノキ、町の図書館。
そして、その先には「ひみつの海」と書かれていた。

「よし、出発だ！」

わたしはランドセルを背負いなおし、教室をそっと抜け出した。
校庭では、ジャングルジムが巨大な貨物船に変わっていた。
クスノキの下では、風が航海の歌をうたっている。
図書館の奥の扉を開けると、そこには青い波が広がっていた。

ページをめくるように、わたしは新しい世界を渡っていく。
ランドセルの中には、冒険の道具と、ちょっぴりの勇気。

どこまで行けるかなんて、まだわからない。でも大丈夫。
わたしには「地図」と「船」があるから。

今日もまた、ランドセルをぎゅっと背負って、
わたしだけの海へ、航海に出る。