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夜、ぼんやりとスマホを眺めていた。 タイムラインには見知らぬ誰かの炎上が流れている。 「みんな叩いてるし、まあいいか」 軽い気持ちで、悪意の一文を投げた。

次の日、指が勝手に動きだす。
何度もスクロールして、目に入った一つの投稿にまた反応してしまう。
「謝罪しろ」「もう二度と顔を見せるな」
言葉を叩きつけるように指が動き、コメント欄に罵声が並ぶ。

もう後戻りできない。
止めても消しても、スクリーンに刻まれるその言葉は消えない。
そのうち、謝罪を求める声が聞こえても、無視し、次なる標的を探してしまう。

「これが、お前の指だろう?」

誰かが囁いた。
指先には、こびりついた赤黒い何か。
触れた画面が、じわりと滲んでいく。

逃げたくても、もう遅い。
ひとたび放った言葉は、指先に染みつく。どれだけ後悔しても、消えない。

この指は、誰のもの。
――いや、最初からずっと、俺自身のものだった。
その他
公開:25/04/26 21:44

初心者です。

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