トリミング

スマホで何気なく撮った教室の写真。
クラスメイトたちの笑い声の中、ふと画面に違和感を覚えた。
窓の隅に、ぼやけた黒い影。

気味が悪くて、影ごと切り取るようにトリミングした。
けれど、新しく保存したはずの写真にも、また違う位置に影が写り込んでいる。

何度も、何度も、切った。
影はどんどん大きく、近くなっていった。

おかしい。
写真を撮ったとき、あそこに誰もいなかったはずだ。

怖くなってスマホを床に落とした。
画面には、起動したばかりのカメラ。
そこには、真っ黒な何かが、もう、すぐ目の前に。

「もう、トリミングできないところまで来たから」

耳元で、知らない声がした。