砂月

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人の願いや思い出は、砂漠の砂のように無数に存在する。
ひと粒では風に舞うほど儚くても、集まれば大きな力になる。
それらが夜空に集まり、やがて“月”になるのだと、祖母は話してくれた。

叶わなかった夢、忘れたくない記憶、大切な人への想い。
世界中の人々の心が少しずつ積もって、月の形を変えていく。
三日月、半月、そして満月へ。
優しい想いが多いほど、月はまんまるに輝く。

争いや憎しみが増えると、月はか細く欠けてしまう。
だから私は、毎晩ひとつ、誰かの幸せを願う。
この砂の一粒が、ほんの少しでも月の光を強くできますように。

満ちた砂月は、暗い夜を照らし、迷える人々を導いてくれる。
祈りが満ちるその時、世界はきっと優しさに包まれる。
その他
公開:25/04/26 14:20

初心者です。

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