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「絶対、虫ですよね」受付の同僚は目配せで私の後ろを示した。
本棚の間を忍び足の男の子。手には虫取り網。公園なら問題ないのだがここは図書館だ。
「探してる本はありそうかな」あくまで図書館員として声をかける。
男の子は頭を振り「ちょうちょ」とだけ答えた。
「隣の公園ならいるかも」と促すも光る蝶を見かけたという。
館内で網を振り回されてもなと困惑していると「いた!」と男の子は声をあげた。
白く輝く蝶がそこにいた。
男の子の網をサラリとかわし優雅に棚の間を飛び回った。
そして1冊の本の中へと吸い込まれていった。
男の子は慌ててその本を掴む。本を開けば蝶が逃げるような気がした。
私も慌てて貸出処理を行い、男の子は大事そうに本を抱えて帰っていった。
それが1週間前。
男の子は蝶の本を返却すると新しい本をカウンターに置いた。
ワクワクした目を前に、蝶の事は尋ねずにおいた。
彼は本の虫を捕まえたようだ。
本棚の間を忍び足の男の子。手には虫取り網。公園なら問題ないのだがここは図書館だ。
「探してる本はありそうかな」あくまで図書館員として声をかける。
男の子は頭を振り「ちょうちょ」とだけ答えた。
「隣の公園ならいるかも」と促すも光る蝶を見かけたという。
館内で網を振り回されてもなと困惑していると「いた!」と男の子は声をあげた。
白く輝く蝶がそこにいた。
男の子の網をサラリとかわし優雅に棚の間を飛び回った。
そして1冊の本の中へと吸い込まれていった。
男の子は慌ててその本を掴む。本を開けば蝶が逃げるような気がした。
私も慌てて貸出処理を行い、男の子は大事そうに本を抱えて帰っていった。
それが1週間前。
男の子は蝶の本を返却すると新しい本をカウンターに置いた。
ワクワクした目を前に、蝶の事は尋ねずにおいた。
彼は本の虫を捕まえたようだ。
ファンタジー
公開:25/04/26 12:18
更新:25/04/26 12:27
更新:25/04/26 12:27
まずは自分が楽しむこと。
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