さびしんぼ人形
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「やられたらやり返すからね」
「そんな事言われたの、言われたほうの身になってほしいね」
学校で酷く傷ついた私は、旅の行商人に話を聞いてもらっていた。
すると…
「じゃあ、コレはどう?」
渡されたのは頭がうさぎの小さな人形。よく見ると両方のほっぺに涙の粒がついている。
「この人形の背中に相手の名前を貼るとね、その人は独りで死んでしまうんだよ」
独りで…。
「惨めだろ?」
私は震える手で人形を購入した。
…買ったものの、どうも使う気になれない。だって、その子だって同じ人間だし、善い所もあれば悪い所もあるのは当然だし。
「それに、ちょっと心がすれ違っただけだし…決めた、あなたの事は使わないね。」
そう決めて幾星霜。
晩年の私は、ベッドの上で家族や孫達に囲まれていた。
そろそろね…そう思ったとき。
『ありがとう』
声がした。あの人形だ。
あなたもさびしかったんだね。
「そんな事言われたの、言われたほうの身になってほしいね」
学校で酷く傷ついた私は、旅の行商人に話を聞いてもらっていた。
すると…
「じゃあ、コレはどう?」
渡されたのは頭がうさぎの小さな人形。よく見ると両方のほっぺに涙の粒がついている。
「この人形の背中に相手の名前を貼るとね、その人は独りで死んでしまうんだよ」
独りで…。
「惨めだろ?」
私は震える手で人形を購入した。
…買ったものの、どうも使う気になれない。だって、その子だって同じ人間だし、善い所もあれば悪い所もあるのは当然だし。
「それに、ちょっと心がすれ違っただけだし…決めた、あなたの事は使わないね。」
そう決めて幾星霜。
晩年の私は、ベッドの上で家族や孫達に囲まれていた。
そろそろね…そう思ったとき。
『ありがとう』
声がした。あの人形だ。
あなたもさびしかったんだね。
その他
公開:25/04/22 18:30
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