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長年、建設工事に従事していると、得体の知れない奇妙な仕事に関わることがある。
今回の案件がまさにそれで、工事看板には、『縮図の縮図第3工区歯車設置工事』と記入されている。
縮図の縮図というのが意味不明だし、毎日、発注者が用意した窓の外がまったく見えない車で現場へ送迎されるのだ。
「色々なぞですけど、オレ、この仕事向いてるッス」と入ったばかりの若者が笑うから、俺はこう言った。
「誰に聞かれても絶対にこの工事の話はするなよ」と。
勘からの忠告だったが、若者は間もなく姿を消した。
今日も俺たちは素材不明の歯車を埋めるため、現場へ向かう。
羽根のように軽くて扱いやすく、設置場所に置けば、まるで吸い寄せられるかのように自ら固定されにゆく不思議な歯車だ。
地図にも残らないであろう仕事を俯瞰すると、地球外生物からの発注ではないかという現実離れした考えが頭をよぎるが、もちろん誰にも話すことはできない。
今回の案件がまさにそれで、工事看板には、『縮図の縮図第3工区歯車設置工事』と記入されている。
縮図の縮図というのが意味不明だし、毎日、発注者が用意した窓の外がまったく見えない車で現場へ送迎されるのだ。
「色々なぞですけど、オレ、この仕事向いてるッス」と入ったばかりの若者が笑うから、俺はこう言った。
「誰に聞かれても絶対にこの工事の話はするなよ」と。
勘からの忠告だったが、若者は間もなく姿を消した。
今日も俺たちは素材不明の歯車を埋めるため、現場へ向かう。
羽根のように軽くて扱いやすく、設置場所に置けば、まるで吸い寄せられるかのように自ら固定されにゆく不思議な歯車だ。
地図にも残らないであろう仕事を俯瞰すると、地球外生物からの発注ではないかという現実離れした考えが頭をよぎるが、もちろん誰にも話すことはできない。
SF
公開:25/04/24 02:08
☆やコメントありがとうございます✨
作品のイラストはibisPaintを使っています。
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