電池

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 俺がバイトしているコンビニに、その若い男はよくやってくる。そして、たいてい、電池を買っていく。恋人用電池だ。しょっちゅう恋人用電池を買っていくということは、この若い男の恋人は、とても深くこの若い男を愛しているのだろう。だから電池の消耗が激しいのだ。俺は内心で舌打ちをしながら、会計作業をする。若い男は照れくさそうな表情を浮かべ、それを見ている。「ありがとうございましたー」俺は去っていく若い男に頭を下げる。俺のバイト代では、恋人は買えない。
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公開:25/04/19 21:02

六井象

短い読み物を書いています。その他の短編→ https://tomokotomariko.hatenablog.com/

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