囗の国

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あら、おはよう! 日本からですか?
私は市場へ行くところ。Non,1人でね。

これ? 
私の囗よ。今、下におろして見せてあげるわ。

ほら、見て。中にどんな物が見える?
“空っぽ”でしょ(笑)

中は空虚でも、持ってるってだけで安心できるのよね。もはやアイデンティティみたいなものよ。

そう。体と同じように、囗も変化するの。大きくなるばかりじゃなく、狭まったり、拡がったり、割れたり、質が落ちたり、ね。

そりゃあ、囗が大きい方がみんなに好かれるわね。大きければ大きいほど魅力的だわ。

…難しい質問ね。

そうね、多少の苦労や危険があっても、囗を成長させ続けるのが幸せ、かな。

ところであなたはもう市場に行った? 私は二度目よ。両手が塞がってると何かと不便だから、私たちにとって奴隷は欠かせないの。よかったらそれ、私のに運ばせるわよ。

そう? それは残念。

ええ。さようなら、よい旅を!
ミステリー・推理
公開:25/04/19 12:38
更新:25/04/19 22:15

紅石紗良

よろしくお願いします!

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